「世界を旅する植物館」~宇部市ときわ公園
今回は、アフリカとオセアニア、アジアゾーンをゆったり歩きながら出会った植物たちを紹介します。
トゲの美しいサボテンたちをはじめ、
古代からの姿を思わせるディクソニア(木性シダ)、
ドライガーデン感漂うチャメロップス(ヤシ)。
そして、ねじれた幹が印象的なタイワンソテツ。
それぞれの植物が、その場所に根を張り、静かに佇む姿に心を奪われました。
2つの大陸をめぐる乾燥地の植物たち

力強く地を守る者|鬼切丸
分厚く長い葉に鋭いトゲをまとったアロエ。
ずっしりと地を這うような姿からは、
まるで“地を守る守護者”のような雰囲気。
名前に負けない、強さと風格を感じる一株でした。

青く鋭く、静かなる迫力|青鰐(アオワニ)
青白く鈍い光を放つ葉にびっしりと鋸歯をもつ、迫力のアロエ。
幹を高く伸ばし、空を睨むような葉姿はまさに“青いワニ”。
赤い岩壁とのコントラストも美しく、
静かな緊張感を放っていました。

アロエ・ディクラ ※推定
「クイーバーツリー」として知られる、木立ちアロエの代表種。
スラリと伸びた幹に星のような葉が広がり、存在感はまるで彫刻。
南部アフリカの乾燥地に自生し、美しいシルエットが印象的でした。

枝分かれ多肉の個性派|アロイデンドロン・ラモシッシマム
枝分かれしたシルエットが特徴のアロエの仲間。
乾いた岩場に生える姿を思わせる、無骨で野性的な風貌。
葉は短く硬く、幹の節も個性的で見応えがあります。

密集する扇葉|チャメロップス・フミリス
ヨーロッパ原産の小型ヤシ。
扇状の葉が密に茂り、ギザギザの葉先が特徴的。
乾燥や寒さに強く、ドライガーデンにもぴったりの植物です。

シダの王者|ディクソニア
太古の森を思わせる木性シダ。
幹は古い葉柄の積層でできていて、
その上から繊細なシダ葉がふわりと広がります。
独特の風格が漂う、シダ界の王者のような存在でした。

ねじれた幹|タイワンソテツ
ねじれた幹が力強くも美しいソテツ。
硬く放射状に広がる葉は、まるで緑の王冠のよう。
盆栽のように仕立てられた姿から、
時の流れと生命力を感じました。
最後に一言
乾いた空気の中で出会った、アフリカとオセアニア、アジアゾーンの植物たち。
トゲやねじれ、硬く分厚い葉――どれも過酷な環境に適応した姿だけれど、
そこには静かで力強い美しさがありました。
温室から始まったこの「植物園さんぽ」も、今回でひと区切り。
湿った緑、乾いた緑、それぞれの「生き方」に触れるたびに、
植物の奥深さと魅力を、改めて感じさせられる時間でした。