「世界を旅する植物館」~宇部市ときわ公園
植物園さんぽ、第2回。前回はシダたちの世界をめぐりましたが、今回は同じ訪問のなかで出会った、まったくちがう個性の植物たち。
葉の色。花の色。幹のかたち。それぞれにちがう驚きをくれた一日。
外気温は22℃ほど。風はおだやかで、温室のなかは少し湿度がある程度。空気のしっとりさを感じながら、ひと部屋ずつ、ゆっくりと歩いていきます。
ベゴニアたち|Begonia

ベゴニアって、こんなに種類があったんだ。そんな気づきから始まる温室のひと角。
まずはベゴニア・マソニアナ(Begonia masoniana)。葉に大きな十字の模様が入っていて、表面は深いシワでくしゃっとしている。鉄甲ベゴニアとも呼ばれるそう。たしかに、鎧のような迫力。

つづいてレックスベゴニア〈真衣〉。和名がついている品種は、それだけで親しみが湧きます。葉のグリーンとピンクが混ざりあって、季節の境目みたいな色合い。

つぎの一枚は、3株のレックスベゴニアが並んでいました。左から、〈グィネヴィア〉〈フヨウノユキ〉〈ベニトチバ〉。
〈グィネヴィア〉は、アーサー王の妃の名を持つ品種。ネットで調べても情報がほとんど出てこない、知る人ぞ知る存在。だからこそ、こうして実物に会えるのは植物園ならではの贅沢。葉の表情を、目でじっくりたしかめる時間。
〈フヨウノユキ〉、漢字で書くと「芙蓉の雪」。葉の白とグリーンの濃淡が、ほんとうに雪をまとっているみたいに見える品種。
そして〈ベニトチバ〉。栃の葉のようなかたちに紅をまとう、あでやかな一株。3株並ぶと、それぞれのキャラクターがいっそうくっきり浮かびあがります。

最後に〈シルバーレイク〉。葉全体に銀色のヴェールがかかっていて、ひんやりとした静かな光のような印象。湖面が反射した瞬間を、葉に閉じ込めたみたいな表情。
ならべて見てみると、ベゴニアってこんなに葉のキャラクターが豊かなんですね。花よりも葉で楽しむ植物、という感じ方が、すこしわかった気がします。
ヒスイカズラ|Strongylodon macrobotrys


そして、今日いちばんの「驚き」は、ここでした。
天井から長い房が垂れさがっていて、その先端に、宝石のような花がいくつもいくつも連なっている。色は、まさにヒスイ色。淡い水色ともグリーンともつかない、やわらかな翡翠の光。
自然界に、こんな色の花があったんだ。しばらく口がぽかんと開いてしまったかもしれません。写真ではなかなか伝わらない色。むしろ、ぼんやりと見惚れる時間こそが本物。
ヒスイカズラ、Strongylodon macrobotrys。フィリピン原産のつる性植物。一度、生で見てもらいたい花。
モンステラ・デリシオーサ|Monstera deliciosa


温室の別エリアで出会ったのが、堂々のモンステラ・デリシオーサ。
実は我が家でも、ふつうのモンステラ・デリシオーサを育てています。しかもいま、地植えに挑戦中。鉢から外して土に直接、というちょっとした冒険の最中。だからこそ、植物園のこの株は気になる存在。
葉の切れ込みがずっと大きく、ずっと深い。葉脈もくっきりとして、葉のサイズは顔と同じくらい。家の子も、地植えで根をのびのびひろげて、いつかここまで育ってくれるかな、と。


つづいて、斑入り品種のモンステラにも出会いました。
我が家ではもう一株、モンステラ・デリシオーサ・タイ コンステレーションという斑入り品種も育てています。乳白色の斑が一葉ごとにちがう模様で入る、見飽きない一株。
植物園の斑入り株は、葉ごとに違うリズムで白を入れていて、ひと枚ずつ眺めても飽きない様子。我が家のタイ コンステレーションも、葉の半分以上が白くなることがあって、新しい葉が開くたびに「今回はどんな模様だろう」と覗き込むのが日課です。同じ「斑入り」でも、株ごと・葉ごとに表情がちがう。家に帰って、うちのモンステラをまた、じっくり眺めてみたくなる。
パパイヤ|Carica papaya

少し歩いていくと、パパイヤの木。
実は、食べるのはあまり得意ではないんです(笑)。でも、植物として見るのはぜんぜん別。幹のすぐきわに、ぽってりと果実が並んでいる姿は、なんともユーモラスで、目を引きます。
「葉の付け根に、いきなり実」という、樹のセオリーから外れた構造。植物の世界には、こういう自由さもあるんですね。食べるのは苦手でも、また会いたい樹のひとつ。
パラボラッチョ|Ceiba speciosa


最後に紹介したい、本日いちばんのキャラクター。
パラボラッチョ。スペイン語で「酔っ払いの木」という、なんとも愛らしい愛称を持つ樹です。学名はCeiba speciosa。お酒に酔ってふらふらと太ったような、ボトル型の幹がトレードマーク。
そして、その幹一面に鋭いトゲがびっしり。「酔っ払い」と名づけながら、近寄りがたい防御力。やさしさと、こわさの同居。
幹の太さに、生命の蓄えのようなどっしり感。トゲの一本一本に、生き抜くための知恵。なんだか不思議で、ちょっと笑ってしまうような、それでいて立派な一本。
最後に一言
ひとつの植物園のなかに、これだけ多彩な顔ぶれが集まっていてくれて、ありがたい一日でした。
葉の色、花の色、幹のかたち。植物それぞれが、自分の「見せどころ」をきちんと持っている。当たり前のようで、なんだか心打たれる発見です。
ときわ植物園さんぽ #3、まだまだ続きます。次回は、また別のエリアの主役たちを連れてきますね。
では、また次回
