#3-4 植物園さんぽ|あの一株、この一株|1 May 2026

#3-4 植物園さんぽ|あの一株、この一株 アイキャッチ画像

「世界を旅する植物館」~宇部市ときわ公園

植物園さんぽ、第4回。最終回です。

ここまで紹介しきれなかった、心にとまった一株、また一株を、最後にゆっくりまとめてみます。5月1日の訪問、いよいよ締めくくり。

外気温は22℃ほど。温室を出ると風がやさしい初夏。

コーヒー(アラビカ種)|Coffea arabica

コーヒーの木(アラビカ種)
コーヒーの木(アラビカ種)

最初に紹介したいのが、コーヒーの木。学名はCoffea arabica。

コーヒーが大好きで、とくに浅煎りに目がない私としては、生のコーヒーの木に出会えるのはちょっとした嬉しさ。我が家でも観葉植物として一株育てていて、つやつやとした濃い緑の葉を、ふだんから眺めています。

植物園の株は、家の子よりずっと大きく、風格たっぷり。葉の艶も、枝のひろがりも、ぜんぜんちがう。「飲むコーヒー」と「育てるコーヒー」、植物としてもしっかり、私の暮らしの仲間に入ってくれているんだなあと、しみじみ。

いつか、家の株にも実がつく日がくるのかな。豆を見られる日がちょっと楽しみ。

ディオーン・スピヌロスム|Dioon spinulosum

ディオーン・スピヌロスム

つづいて、Dioon spinulosum。メキシコ原産の、稀少性が高いソテツの仲間。

我が家でも、観葉植物として一株、ゆっくり育てています。とにかく成長が遅いことで知られていて、新しい葉が出るたびに、小さなお祭りのような気持ちになります。

植物園のディオーンは、葉のひろがりが立派で、堂々とした風格。見上げながら、家の子の何十年か先の姿を、勝手に重ねてみる。

「こちらが追いつくのが先か、向こうが大きくなるのが先か」(笑)。ゆったりとした生きものの時間に、こちらの時間もすこしゆるんでいく感じ。

エンケファラルトス・トリスピノーサス|Encephalartos trispinosus

エンケファラルトス・トリスピノーサス

そしてその近くで、青みがかった葉が目を引いた一株。Encephalartos trispinosus。ホリダスと近縁の、青葉系オニソテツの仲間。

葉の表面は、さらさらした青みのある銀色で、まるで金属を薄く伸ばしたような不思議な質感。トゲもしっかり主張していて、まさに「鬼」の名がふさわしい風貌。

青葉系のソテツ、好きな人にはたまらない一群。ホリダスやトリスピノーサスのような子たちは、見れば見るほど、ずっと眺めていたくなります。

アスピディストラ・シチュアネンシス|Aspidistra sichuanensis

アスピディストラ・シチュアネンシス
アスピディストラ・シチュアネンシス

つぎに気になったのは、ハランの仲間、Aspidistra sichuanensis。

正直、なかなか覚えにくい名前。何度口にしても、口に定着してくれません。けれど、葉の表情はしっかり目に焼きついた一株。葉に入った不思議な点々と、まだらの模様。植物がデザイナーになったような、計算された無造作。

名前は覚えられなくても、姿は覚えていられる。植物との出会いって、そういう記憶のされ方もあるんですね。

オリーブ(古木)|Olea europaea

オリーブ(古木)

そして、本日、思わず足が止まった一株。古木のオリーブ。

オリーブといえば、ふだん街路樹や鉢植えで見るのは細身の若木が多いけれど、この古木の幹の太さときたら。両手で抱えても収まりきらないほど。何十年、もしかしたら何百年もの時間が、ねじれた幹のなかに刻まれている様子。

幹のうねり、樹皮の溝、節のひとつひとつに、生きてきた重みがある。「植物の時間軸」というものを、ぐっと体感させてくれる存在。

オリーブの実を口にするたびに、こういう古木のことを少し思い出せたら、味わいもまた変わってきそうです。

チャメロプス・フミリス|Chamaerops humilis

チャメロプス・フミリス
チャメロプス・フミリス

そして、最後にとっておきの一株。Chamaerops humilis。

我が家のドライガーデンでも、地植えしているチャメロプス。だからこそ、植物園で出会うこの子は、特別な一株です。

植物園のチャメロプスは、すっかり立派に育っていて、葉のひろがりも、幹のしっかり感も、見惚れるほど。家の子もいずれは、こんなふうに堂々としていくのかな、と未来をのぞきたくなる。

そしてここで、ちょっと嬉しい話。家のチャメロプスも、ちょうど今、花芽が出てきています。植物園のこの子と、同じ季節を感じて、家の子も準備を始めているのかも。タイミングまでぴたり、というのが、なんだか心がほぐれます。

「家の子と、植物園の先輩が、同じ春を生きている」。それだけで、最終回にふさわしい、ひとつの場面。

最後に一言

植物園さんぽ #3、4部作の完結です。

第1回はシダの仲間たち、第2回は葉と花と幹のかたち、第3回はドライガーデンの先輩たち、そして今回は、心にとまった一株一株。同じ植物園を、テーマを変えて歩いてみたら、毎回ちがう景色が見えてきました。

家に帰って、自宅の子たちと向き合うと、また新しい目線で眺められそうです。コーヒー、ディオーン、チャメロプス、それぞれの「先輩」の姿を、心の片隅に置きながら。

ときわ公園の植物園、また季節を変えて訪ねてみたいと思います。

では、また次回

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